中小建設会社がIT担当者を採用すべき5つの理由

目次
1. はじめに:なぜ今、建設業にIT人材が必要とされるのか
近年、建設業界でも急速にDX(デジタルトランスフォーメーション)の波が押し寄せています。国土交通省も電子納品・BIM/CIMの推進を打ち出し、大手ゼネコンを中心にIT導入が進むなか、中小建設会社は取り残されがちです。
特に「人手不足」と「アナログ業務」が重なると、業務効率の低下やミスの温床となり、生産性の著しい低下を招きます。こうした背景のもと、今こそ中小企業がIT人材を社内に抱えることが強く求められています。
2. 理由①:業務効率の大幅向上につながる
建設業界では、見積作成、発注、請求、勤怠管理など、多岐にわたる事務作業が日常的に発生します。これらの業務を、表計算ソフトや紙で対応している企業もまだまだ少なくありません。
IT担当者がいれば、クラウド型の見積管理システムや、スマホと連携した勤怠打刻システムなどの導入・運用が可能になり、事務作業に費やす時間を大幅に削減できます。現場と本社の情報共有も、チャットツールやタブレット活用で格段にスムーズになります。
3. 理由②:属人化のリスクを減らし、標準化を促進
中小建設会社では、1人のベテラン社員があらゆる業務を抱え込んでいることが少なくありません。これは「その人がいなければ何も進まない」という、非常にリスクの高い状態です。
IT担当者が入ることで、業務手順をマニュアル化し、業務フローをデジタルに「見える化」できます。これにより、新人でも一定のレベルで業務を遂行できるようになり、「誰でもできる体制」が整っていきます。
4. 理由③:取引先や元請けへの信頼性向上
昨今では、取引先や元請け企業から「電子納品できますか?」「図面のBIM対応は?」といったIT対応の可否を問われる機会が増えています。これに適切に対応できないと、案件獲得のチャンスを逃すことにもなりかねません。
IT担当者がいることで、電子契約、BIM/CIM、データ連携などに柔軟に対応でき、企業としての信頼性・先進性をアピールすることが可能になります。
5. 理由④:社内のIT活用リテラシーを底上げできる
いくらITツールを導入しても、現場や事務担当者がそれを使いこなせなければ意味がありません。特にベテラン社員にとっては「慣れた紙のやり方」からの脱却が難しい場合もあります。
IT担当者がいれば、社内研修や操作サポートを通じて、社員全体のITリテラシーを向上させることが可能です。これにより、全社的に“デジタルに強い組織”へと進化していきます。
6. 理由⑤:将来的なDX推進や業務外注の基盤整備
クラウドシステムやAI、RPA(業務自動化)などを活用した業務改革は、もはや大企業だけのものではありません。中小企業でも、上手に活用すれば生産性を大きく伸ばすことが可能です。
IT担当者は、その第一歩を支える存在です。また、外注業者やITベンダーとスムーズにコミュニケーションをとる橋渡し役にもなり、社外とのIT的な連携にも大きな貢献を果たします。
7. まとめ:IT担当者は「コスト」ではなく「投資」
IT担当者を採用することに、コスト的な不安を感じる中小企業も多いでしょう。しかし、長期的に見れば、業務の効率化やミスの減少、人材育成といった多大なリターンをもたらします。
「ITはよく分からないから後回し」「時間も人手もないから今は難しい」といった姿勢では、いつまでも変化に取り残されてしまいます。だからこそ、中小建設会社が今すぐ取り組むべき第一歩が、“自社にIT担当者を迎えること”なのです。