建設DXを行うにはどんなスキル・人材が必要?業界特有のポイントを解説

近年、建設業界でもDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が求められています。DXを実現するには、業務内容の理解はもちろん、デジタル技術、プロジェクトマネジメントなどの様々なスキルが必要となります。建設企業において、これらのスキルを持った人材が社内で揃うことは珍しく、多くの場合はIT企業やコンサルティング企業などの外部からの調達を行うことになるでしょう。
ここで注意が必要なのは、一般的なDXに必要とされるスキルを持った人材を建設企業に投入しても、必ずしも成功するとは限らない点です。建設業界特有の文化や慣習を理解し、それに適応した上でDXを推進できるスキルセットが求められます。
本記事では、建設業界の背景を踏まえ、現場を巻き込んだ建設DXを成功させるために必要なスキルについて3つご紹介します。これらをDX人材の見極め基準として活用すれば、外部からの人材調達の際に活用できるでしょう。
1. 職人から情報を引き出す「ヒアリングスキル」
ドローンによる測量や、AIを活用した画像解析など、現場作業に関するDX推進においては、現場の職人からの情報収集がカギとなります。特に建設業界では、長年の経験や勘に基づいて仕事を進める職人が多く、「見て学ぶ」文化が根付いているため、自身のノウハウを言語化することに慣れていないケースも少なくありません。DXを進めるには、職人から正確にヒアリングして業務を把握し、デジタル技術でどのように改善できるかを検討する必要があります。
職人の日常的な作業の要点や課題を丁寧に尋ねることはもちろん、相手自身が気付いていない潜在的な問題を引き出すようなコミュニケーションが求められます。これにより、現場の実態を深く把握し、効果的なDXの実現につなげることができます。
2. 共感を生み出し、業務に携わるメンバーの理解を得る「調整力」
建設業界は他の業界に比べて高齢化が進んでおり、新しい技術やシステムの導入に対して抵抗感を持たれるケースも見受けられます。そのため、DX推進には、現場の理解を得る調整力が非常に重要です。
調整力とは、単に説得する能力ではなく、現場の人々の意見を尊重しながら共感を生み出し、変化に対する不安を和らげる力です。例えば、新しいシステムを導入する際には、それが現場の効率化にどのように役立つのか、具体的な事例を用いて説明することが効果的です。また、DXによって仕事のやり方が変わることに伴う現場の負担にも理解を示し、段階的に導入を進めることで、変化を受け入れる時間を確保する工夫も必要です。
3. 相手に合わせた伝え方で理解を促す「説明力」
信頼関係を構築し、DXに前向きになってもらうためにも、相手の業界・慣習に合わせた適切な説明をするスキルも必須となります。イメージするための具体例として、「横文字」を挙げます。
先ほども述べた通り、建設業界は高齢化傾向にある関係で、他の業界に比べてカタカナのビジネス用語、いわゆる横文字をあまり使いません。一方、IT・コンサル系の企業では会話の中で横文字が多用されます。その違いを意識せずに両者が会話をすると、内容以前に言葉のギャップが原因で親近感が持てず、信頼関係を構築できない可能性があります。
専門用語や技術的な内容についても、できるだけ専門用語を使わないようにしたり、建設業界に身近なもので例えたりすることで、より理解も進み、信頼してもらえる可能性も高まります。こうした「相手の目線に立ったわかりやすい説明」を心掛けられるかどうかも、建設業界で周りの信頼を得ながらDXを推進する上で重要となります。
建設業界でDXを成功させるためには、一般的なDXのスキルだけでなく、ここまでに挙げた3つのスキルを持った人材が必要です。外部から調達する際はもちろん、内部から推進役を選定するケースでも、見極め基準として持っておくと良いでしょう。
なかなかそういった人材が見つからない場合、あるいは上記のように「建設業界特有のDX推進の課題・必要事項」が知りたい場合は、建設業界に明るいIT・DXコンサルタントに問い合わせをするのがおすすめです。建設DXサポートセンターは、「建設業に特化した社外のIT部門」として、状況に合わせた最適なサポートをご提供します。建設DXについてお悩みの際は、ぜひご相談ください。